お知らせ

「ケージーエス製品 私はこう使う!」第20回

2017.10.10

社会福祉法人千葉県視覚障害者福祉協会 視覚障害者総合支援センターちば 石川 龍海 様
使用機器:ブレイルメモスマート40
使用内容:点訳校正、図書作成作業など

石川 龍海 様 の写真
石川 龍海 様

ユーザーの方々にケージーエス製品の活用方法を語っていただく『コラム「ケージーエス製品 私はこう使う!」』

今回は点字図書館機能を有する施設にて働いている、石川様にお話を聞いてまいりました。
図書作成の他、ボランティアの方とのやり取りなど、点字にこだわった使い方をしていらっしゃいますので、是非ご覧ください。

触読と音声併用して利用しています

視覚障害者総合支援センターちばでは、「誰にでも行き届くサービスを」というキャッチフレーズで、千葉県内の方を対象に、パソコンなどの機器を教える「IT支援」、録音図書・点字図書の作成及び、貸し出し・閲覧を行っている「情報サービス」、歩行訓練士による歩行訓練を行う「自立支援」、就労継続支援B型施設「ワークショップ四街道」の、4つの事業を行っています。

その中でも私は「情報サービス」として、図書製作を行っています。内容としては点訳図書の校正や、図書製作の際のボランティアのコーディネート(窓口業務)、また千葉県と千葉市からの委託事業として「点訳ボランティア養成事業」も行っています。

「点訳ボランティア養成事業」に関しては、千葉県から10名、千葉市から10名、合わせて20名の定員で講座を行います。これだけの人数を晴眼のスタッフと2人で行うので、課題を見ていくことが大変です。
これらの仕事の中で、ブレイルメモスマートを大いに活用させていただいています。

図書製作の中には、点訳校正の仕事があり、この時はブレイルメモスマートを常時利用しています。
我々はサピエ図書館に図書をアップロードすることを第一目標としています。
点訳ボランティアの方にパソコンソフト「点字編集システム」にデータ入力していただき、点訳作業を行っています。「点字編集システム」は音声や点字ディスプレイにも連動しますので、我々視覚障害者にも使うことができます。主に送られてきたデータをパソコン上で開き、点字ディスプレイとしてブレイルメモスマートに点字表示させ、それを読みながら、データに間違いがないか、点訳ボランティアの方と読み合わせを行います。

ブレイルメモスマートに点字を表示させながら、パソコンでで作業されているご様子の写真
ブレイルメモスマートに点字を表示させながら、パソコンで作業

私は、生まれながら目が見えないので、点字を音声で聞くということが嫌いですが、校正は触読と音声併用が最も作業効率がいいと考えています。実際、音声で聞きながら校正する「シャドーイング」という方法がありますが、その場合、記号を読み落としたり不備があるため、ブレイルメモスマートで点字を触読しながら、音声と併用で「点字編集システム」を操作し校正作業を行っています。音声はソフトそのものの操作で主に使用します。

点字で読むことで、しっかりと質問のニュアンスを捕らえることができます

ボランティアのコーディネート業務では、ボランティアの方から図書作成時の質問メールに回答する事があります。質問によってはメールだけでは解決が難しいので問題になっている部分の点字データを、メールで送ってもらい、そのデータをブレイルメモスマートに表示させ触読しながら問題を解決しています。
「この分かち書きどうするの」や「レイアウトをどうしましょう」など質問内容のニュアンスが微妙な時は、ブレイルメモが必須となります。よーく前後を読んで「この場合はこうだね」と答えていきます。この時、音声でなく、点字で読むことで、しっかりと質問のニュアンスを捕らえることができます。

ブレイルメモスマートで触読されているご様子の写真
ブレイルメモスマートに表示させ触読しながら問題を解決

「点訳ボランティア養成事業」では課題の校正に利用したり、講座の際に参照する「点訳の手引き」という本を、紙で持っていくのは大変なので、サピエ図書館からダウンロードしブレイルメモスマートに入れて読んでいます。
また、講座の受講者に宿題を出す際にブレイルメモスマートで点字データを作成しています。宿題は、墨字文章を点訳するというもので、まず晴眼の職員と情報共有するために、問題をテキストデータとして墨字で作成します。次に問題のテキストデータをブレイルメモスマートの「テキストから点字への自動変換機能」を利用して、点字データにし、レイアウトを手直しして模範解答を作成しています。

色んな求めに応じたものを作成していくことが大事

サピエの現状として、話題の新刊や、有名な作者が新作を出すと、各施設で椅子取りゲームのように、早い者勝ちの取り合いになってしまっています。我々の理念としては、ダウンロード回数も大事だけども、色んな求めに応じたものを作成していくことが大事だと思っています。
サピエ図書館に登録している各施設が手分けして、持てる力をだして色んな図書を作るということが、サピエの方針でもあり、全視情協の方針でもあるので、我々は他の施設が作成しないような、新書でしたり、雑学本、マイナーな小説などをわりと選んで作成しています。